* * *


「菅原さーん。……どーこ、行っちまったんだろ?」

私は草むらに隠れて、様子を見ていた。


「菅原さんの唇、奪いてー!」

「菅原さんのことだから、絶対嫌がるだろうな」

「けど、そこが菅原さんらしくて、いいよなぁ」

男子たちの話し声が遠のいていった。


 ……どうしよう……。

完全に狙われてる……。


「はぁ……。自分でゴールするしかないよね……」

「……未良?」

え?

聞き覚えのあるその低い声に、思わず振り返ってしまった。