もうすぐ体育祭……だけど。

結局、あの日のことは本多君に訊けないまま……。


「あっ、未良!? これ、見て!」

「え?」

教室に入るなり、実保ちゃんが紙を持って私に近づいてきた。


「ほら、ここ。MVPを取ったら、好きな人とキスする権利が与えられるんだって!」

「……。へー」

別にMVPなんて、取れないし……。


「……す、菅原さん?」

「? はい?」

席に着いた瞬間、男子が話しかけてきた。


「あ、あのさ……。体育祭、菅原さんって出席する?」

「へ?」

え、何……?


「……菅原さーん」

「! は、はい! あのっ、……ごめんなさい!」

先生に呼び出されたので、その場を後にした。