「なぁ………少しでいいんだ」 俺は今日も懲りることなく彼女に尋ねる。 「………」 その声に反応した彼女は 読んでいた本から俺に視線を移すと 細長い髪を揺らして柔らかく笑うんだ。 「だめよ」 そう言った彼女はまた手元の本に視線を落とした。 無駄な動きなど一切ない。 誰もが見惚れるであろう美しい彼女は、仕草さえ綺麗だ。