ある日。 あたしは遼に内緒で蓮の元へと向かった。 傷だらけの遼を見てると、 あたしも何かをせずにはいられなかったから。 「蓮、帰ろう?」 あたしは蓮に向かってまっすぐ言った。 蓮は相変わらずあたしを睨んでいた。 「蓮は帰んないって言ってんのが分かんねーの?」 男があたしを睨む。 それでもあたしは蓮から視線をそらさなかった。 蓮に帰ってきてほしい。 あたしと蓮と遼と歩果の四人で、また笑い合いたい。 蓮の中にある微かな弱さへと、あたしはまっすぐ目を向けた。