銀盤少年


「いや、凄く良い子だよ。性格じゃなくて、彼女の技術に問題があるんだ」


困ったように眉尻を下げると、タクさんは言葉を続けた。


「彼女の技術が高すぎて、ペアの子がついていけないんだよ」


タクさんの言葉に少しだけ衝撃を受けた。


レベルが違うから長続きしないなんて、そんな漫画みたいなことが実際に起こりえるなんて……。


と同時に、俺が試されているということも悟る。


「彼女は日本じゃ珍しいアイスダンス一筋の選手だ。今から彼女の技術に追い付くのは正直難しいと思うけど……どうする?」


タクさんの問い。俺はクリアファイルに入っていた彼女の写真を手に取り見つめる。


「望む所ですよ」


なんの問題はない。俺が彼女のレベルまで追い付けばいいだけのことだ。


「そのために日本へ戻って来たんですから」


新たな道での再出発。その決意は揺らがない。