銀盤少年


お人よしすぎますよ。逆に心配になってしまう。


俺もコーヒーを頼む。実はタクさんと二人っきりというのは初めて。


朝飛のお兄さんということで交流は合ったけど、俺からしたら憧れのスケーターが目の前にいるのだ。


ちょっと緊張。気付かれないよう深呼吸。


「足の具合は?」


「まだなんとも。もう暫く様子を見て、氷上練習を再開しようと思ってます」


先月足のボルトを抜いた。


本当は一旦ロシアに戻ろうとしたけれど、逆に身体の負担になるということで、ロシアにいる主治医の紹介で日本の病院で手術を受けた。


難しいものではなかったから無事成功。ずっと抱えていた違和感が消え去って、なんとなくだけど身体が軽くなった気分。


本来あるはずがない物が身体に埋まっていたのだから当然か。


右肩の問題はどうしようもないけれど、これで実質怪我は完治。これで思う存分身体を動かせる。