銀盤少年


仁君よりも先にケンちゃんが反応する。


眉間に皺を寄せて睨みつけてくるが、それは怒っているんじゃなくて単に目が悪いだけ。


試合中はコンタクトを外しているから、恐く見えるだけだ。


でも、少しは怒っているみたい。顔がちょっとムスッとしてる。


「あいつには教えたのか」


「なに? 妬いちゃった?」


「そんなんじゃない。ただ……」


「ただ?」


「……いや、なんでもない」


拳を強く握る姿は悔しそうで、リンクの入り口でコーチとはしゃいでいるカズを見つめている。


納得いくわけないか。自分のコーチが知らぬ所でライバルにアドバイスをしていたんだ。普通なら解任しかねない。


まあ、理由はそれだけじゃなさそうだけど。