「どうした?」


「いや、なんでもないよ。それより四回転の調子はどう?」


「それが全然。成功例がないし、なにもかも手探り状態で……」


……あっ、やべ。


一番知られちゃいけない人に喋っちまった。


「そっか。やっぱり練習してたんだ」


ヒロの背後から炎が見える。幻覚なんだろうけど、きっとヒロの心情はこの業火の如く燃え盛っているだろう。


草太にも教えてない、俺と先生だけの秘密の特訓。


ヒロにバレると色々と煩いから知られないように必死で隠していたけれど、まさかこのタイミングでカマをかけてくるとは卑怯だ! うっかり喋っちまったじゃねーか!


「詳しく教えてくれないかな。ねえ、部長さん?」


碧眼が上から俺を見下ろしてくる。


イケメンの笑っていない眼はかなり恐い。まじビビる。