銀盤少年


第二滑走者は狼谷。


次が俺だから本格的に準備をしなくちゃいけないが、あいつの演技を観る方を優先する。


橋本杯から完成度を高めてきて、二つのブロック大会を優勝してここまで進んできた。


狼谷健太郎の完全復活。そう断言したっておかしくない。


後はどれだけ進化したのか、それをこの大会で魅せ付けてやるだけだ。


文字通りヒロに背中を押されて、狼谷がリンクの中央に向かう。


仁とは対照的に黒い衣装。殺気立つオーラは以前の比じゃない。


けどツンケンしている近寄りがたいものじゃなくて、既に役に入り切っているのがなんとなくだけどわかる。


なんだかんだで俺も奴の近くにいたんだ。素か役かくらいは大体わかる。


鋭い眼光。所定の位置に付くと、両手を顔の前でクロスさせる。


それだけで仁が作った空気を一瞬で払しょくさせて、観客を自分の世界に引きずり込んでいく。


ただ立つだけで人を引きつける。