銀盤少年


サン=サーンス。死の舞踏。


ヴァイオリンを中心とした交響詩で、重さの中にも軽快さがある楽曲。


全日本ジュニアで三位になった時の、SPの時点で首位に立った時のプログラム。


かつてタクさんがSPで使用していた楽曲であり、音源も編曲もほとんど同じだ。


当初は二番煎じと批判的なことも言われていたけど、最終的にはこのプログラムを自分の物にしていた。


「始まった」


静かに紡がれたヒロの呟きは、俺の耳には届かなかった。


奴の作り出す世界観にすでに取り込まれていたからだ。


曲と同時に笑みを浮かべて、顔の前で指を鳴らす。


狼谷が演じるのは死神。


タクさんが演じていたのは、狂喜に湧く骸骨の姿。


死神が弾くヴァイオリンの音色に導かれ、二度目の死を向かえるまで狂喜のあまり踊り狂う哀れで幸せな骸骨達。