とりあえず、俺が居ない間の状況を優希と草太が簡単に説明してくれた。


フリーを滑る予定だった狼谷はショートに回り、俺が間に合わないと判断したヒロがエントリーを取り変えてフリーに出場。


ちなみになんで朝飛がいたかというと、本来は補欠登録で出場する気はさらさらなかったのだが、レギュラーの仁がいないので代わりに出場したとのこと。


そんで朝飛とヒロは顔見知りらしい。って、そんなことはどうでもいいんだよ!


予選会後の余韻が冷めぬラウンジで、俺達はヒロの衝撃的過ぎる事実に驚きを隠せずにいた。


「……えっと、まじ?」


「嘘ついてどうすんだよ」


あっさりと肯定。いやいやいや、だって信じられないって。


「元ロシアジュニアチャンピオンって……」


今思えば、その片鱗が垣間見えていた。


俺達への的確なアドバイスとか、リンクで俺と狼谷をとっ捕まえたこととか、狼谷のプログラム作りとか、おおよそ経験者という言葉じゃ済まない事柄までこなしていた。