銀盤少年


音を捉える能力は一流の物を持っていたけど、ワンフットステップでも音楽と合わせられるのは流石としか言いようがない。


音楽表現という点においては、隣の王者よりも優れているかも知れない。


贔屓目とかじゃなくて客観的に。


足換えキャメルスピンをそつなくこなして、演技終盤に余力を残す。


二年前と比べてスピンのレベル要素も大きく変わった。


草太君のような軟体ポジションがなく、カズのように度重なるルール変更を経験していないケンちゃんが、より複雑になったスピンのルールに対応するのは難しい。


だからスピンのレベル4は諦めて、武器を磨くことにした。


ケンちゃんの武器はその存在感と表現力。


圧倒的な存在感で視線を集め、表現力で魅了し、心を鷲掴みにして自分の世界に引きずり込む。


スピンに費やす時間を削って正解だった。


滑りと表現に集中することが出来て、今この場にいる人達は全員ケンちゃんに釘付けだ。