「ひっさしぶり~! 世界ジュニア以来だよね?」
「チッ」
隠す気などない邪険な態度。
まあわかるけどね。ジュニアの大会に全日本王者とか、性質の悪い嫌がらせだ。
「あの馬鹿から連絡は?」
「まだない。空港に連絡してみたらロシア便は通っているみたいだけど……」
「そうか。わかった」
ポーカーフェイスなケンちゃんだけど、心が揺れているのがわかる。
数年ぶりの試合。突如滑ることになったSP。そして仁君のこと。
涼しい顔してるけど、身体の中では血液が濁流のように荒れ狂っているはずだ。
「ケンちゃん」
「ん?」


