ちょっとからかっただけなのに、パクパクと酸欠の金魚みたいになってしまい、なにかを訴えようと上目づかいで見つめてくる。


ここまで動揺するとは、優希ちゃんも初心なんだなぁ。


「ち、違うから! 好きっていうのは友達としてで、衣装作りもお礼というかなんというか……」


「お礼?」


「えっと……私小さい頃ね、男の子によくからかわれてたの。今となっては良い思い出だけど、その時は凄く辛くて『もう死んじゃいたい!』って思ってたんだけど」


「助けてくれたのがカズだった?」


「たった一人で五人とケンカして、ボコボコにやられたんだから格好つかないよね。ヒーローになり切れないのが、なんとも一樹らしいけど」


「そこに惚れたわけか」


「うん。一樹にはずっと助けてもらってばっかだから、少しでも役に立てればいいなぁ~と思って衣装作りを……」


硬直する優希ちゃん。


可愛らしいけど、素直すぎるのも少々問題かも知れない。