銀盤少年


なんだか俺の方が恥ずかしくなって、どういう反応をすればいいのかわからなくなったから、とりあえずリンクの方へ視線をやった。


中では仁の曲掛け練習が終わったところで、ゼェゼェと肩で息をしながら額の汗を腕で拭っている。


あれ? 確か次の曲掛けって……。


「じゃあ行ってくるな」


タクさんが勢いよくリンクに戻ると、辺りの空気が一瞬にして変化した。


圧倒的な緊張感。羨望と期待に満ちた眼差しが、タクさんに集中する。


それまで邪魔にならないようにと細々と練習をしていた選手達が一斉に足を止め、完全に練習を中断し始めた。


それでも周りのコーチ陣は何も言わず、揃ってタクさんを凝視している。


そりゃそうだ。こんな間近で世界最高峰の技術を見ることが出来るんだ。


百聞は一見に如かず。タクさんの生演技を見た方が勉強になる。


リンクの中央に立つ。