銀盤少年


経験豊富で場数を踏んできたシニアの選手ならまだしても、ノービスから上がったばかりのジュニア一年生がここからコンディションを盛り上げるのは絶対に不可能だ。


だけど兄貴は奇策に打って出た。


予定したジャンプ構成を、大幅に変更してきたのだ。


ジャンプの難易度を落とすことはよくあるが、兄貴の策は根本が違う。


二本跳ぶ予定だった3Aと3Fを一本に絞り、代わりに得意なサルコウだけを二本組み込み、予定していた3-3のジャンプコンビネーションを2A-3Tに変更。


ジャンプの配置も大幅に変えて、ぶっつけ本番で演技に挑んだ。


振り付けとの兼ね合いもあるし、こんだけ弄ったら逆に難易度が上がる。アドリブといっていい。


「典型的なジャンプ馬鹿だと思っていたら、あっさり構成を弄って驚いた。地力があるから出来る芸当だが、寧ろ頭のキレがやっかいだな。ああいう実力がある策士タイプが一番やっかいだ」


「嗚呼、確かにな」


試合ごとにコロコロ構成を変える兄貴に、先生もしょっちゅう呆れてたっけ。


若いんだからどんどん挑戦しろとか、やるだけやってみろとか。