銀盤少年


どうしても自分が傍に入れない時は、弟で俺達とタメである朝飛を置いてくれた。


元祖天才少年であるタクさんの弟ということもあるだろうけど、気さくで明るい朝飛の元には自然と人が集まってくるから、露骨な嫌がらせはなくなった。


それでも小さな嫌がらせは続いたけど、タクさんは「他人の心を理解出来ない人に、フィギュアスケートは続けられない」と、頭をポンポンと撫でて励ましてくれた。


そしてタクさんの言う通り、そいつらはこの競技から不思議と消えて行った。


あれほど人の心を読むのが上手い人はいないと思う。


思い返せば、タクさんに助けを求めたわけでもないのに色々と庇ってくれたのは、俺達の不穏な雰囲気に感づいてくれたのがきっかけだったような気がする。


当時から天才兄弟スケーターとして関係者の間では有名だったタクさんだけど、この一件からタクさんは憧れの人物から俺のヒーローになったのだ。


もちろん朝飛も、俺の大事な親友になった。


朝飛がロンドンに行っても交流は続き、暇さえあればチャットをして日本とロンドンの情報を交換していた。


兄貴が事故に巻き込まれた時も、真っ先に駆けつけてくれたのがタクさんと朝飛で……。


話を戻そうか。それに狼谷にちょっと聞きたいこともある。