向かっているのは多分、教室 『彩芽、緊張してる?』 顔は前に向けたまま聞かれる 私は少し前にいる悠磨を見た 『もちろん』 私がそう言うと、彼の口元が上がった 『大丈夫、すぐ慣れるけん』 『うん』 私の視線に気付いたのか、悠磨は私のほうへ振り返った ―――そして 『……ん』 悠磨の唇が私の唇に重なった