「うおっ!!?」

 俺は差された指の先を見て、叫んだ。

 先程凶器として吹っ飛んでいったティッシュの箱が――浮いてる?

 いや、間違いなく浮いてる。
 糸も何も無い。
 浮遊しているのだ。

『こうやって浮かせたり――』

 チイラはそう言いながら人差し指をくるっと回した。

「――あ」

 ティッシュの箱が浮いたまま、淳の額に飛んでいった。

『いってぇーー!!』

 ここまでは真奈美が投げた時と一緒だった。

 しかし
 先程は当たってすぐ床に落ちたティッシュの箱は、まだ浮いていた。

『こうやって操って攻撃したりも出来る』

 淳が痛がっているのを横目に、チイラは平然と言った。

 ク、クール……。

『で、貴方なんか大変な事に遭ってんだって?』

「え? あ、ああ」

 もしかして何とかしてくれるのか?

『ま、頑張れ』

「…………」

 それだけかよぉぉぉ!!!!

 はぁ……期待して損した。