優は、眠ってしまった駿を抱き上げた。

『あ〜こいつ運ぶの二回目だ』

「二回目?」

 俺はきょとんとした。

 いつどこで男友達を抱き上げる機会があるのだろうか。
 まさか――

『誤解される前に言っとくが、俺にそっちの気はない』

 あ、違うのか。
 でも――

『……んに…………』

 駿兄、優兄に凄いしがみ付いてる……。
 まぁ仲良しって事にしておこう。

『高校の入学式の日……中庭にこいつが倒れてた』

「は!?」

 俺は思わず大声を出した。

『ああ、俺も凄い驚いた』

 駿兄の部屋の前に着いた。
 俺はドアを開けた。

『俺、こうやって保健室まで運んでやったんだぞ? 偉いだろ……』

 優兄と俺は部屋に入った。

「え……偉い……」

 俺だったら、先生呼ぶくらいだな。

『話聞いたらさ、高熱のくせして入学式来たんだって――馬鹿だよな』

 優兄は駿兄をベッドに寝かせようと、ベッドに腰を下ろした。

『で、友達になったんだよ』

「え……」

 何かいろいろ端折った?

『ははっ、まぁいろいろあったんだよ』

 端折ってる……。