(消えろ、……?)

「……ああ、そうだ」

 俺がそう言うと、頭の中で笑い声が響いた。

(あははははははは! ははは!)

 もう一人の俺は、笑う。
 狂ったように。

 何が、おかしいのだ。
 どうして、笑うのだ。

(お前みたいな平凡な奴こそ消えろよ)

 頭の中に響いた言葉は、あまりにも残酷だった。
 そしてその言葉は、俺に深く突き刺さった。

「平凡――――だよな」

 俺は、寂しく笑った。

(そうだ、俺はお前よりか優れている。全てに置いて)

 ああ、全くその通りだ。

(つまり、お前より俺が居た方が良いんだよ!!)

「でも…………」

 俺は困惑してしまった。
 そうかもしれないけど……。

(お前なんかなぁ!! 必要ねぇんだよ!! 生きてる意味ねぇんだよ!!)

「…………」

 俺は何も言い返さなかった。
 いや、言い返せない。
 全て本当の事だから。

 代わりに、涙が滴り落ちた。

『藤、崎……?』

 葛西が怪訝そうな顔をして問い掛けた。
 俺は、静かに首を振った。

(と言う訳で、体貰うよ……)

 抵抗する元気は、残っていなかった。
 頭に響いた言葉は、知っていたはずなのに、とてもショックで。
 ――生きてる意味ねぇんだよ――

 ああ、そうだな……。