一人睨めっこ

『あーおもしろかった』

 淳達三人は思う存分笑い転げた。

 じ、人生最大の屈辱かも。

『そろそろ風呂入ってこようぜ』

 優兄が言った。
 優兄は、自分の所為で爆笑の渦になってしまった事を反省しているようだ。

『おう、そうだな!』

 淳と駿兄も賛成した。

『いってらっしゃぁい』

 葛西が淳の漫画を読みながら言った。

 葛西の奴、人の家を我が物顔で使ってるし……。
 全く、学校での葛西と大違いだ。

『どうした? 早くこいよ発情期』

 淳が手招きする。

「あだ名みたいに言うんじゃねぇっ!!」

 俺はそんな淳に怒りながらも風呂に行った。


『はぁあ、今夜は寝れそうにないわね』

 葛西の呟きが微かに俺の耳に入ったが、何と言ったのかは聞こえなかった。