『俺――真琴の様子が明らかに変だって思ったんだ』

「だろうな」

 あんなの変どころの話じゃない。

『そしたら葛西が――』

「葛西が?」

 いきなり出てきた人物に驚き、俺は口を挟んだ。

『ああ、葛西だ』

 葛西と何の関係が?
 まぁ、一先ず淳の話を聞くか。

『葛西は俺に言ったんだ。“貴方も藤崎君の異変に気付いているんでしょう?”って』

 “貴方も”?
 って事は葛西も気付いて……。
 そりゃそうか。
 小テストの時のアレを見れば嫌でも変だと思うよな。

『俺、うんって返事したんだよ。そしたら――』

 ピンポーン

『葛西が――』

 ピンポーンピンポーン

『……こんな時に、誰だよ』

 ピンピンポポーンピンポーン

 あれ……。
 この流れさっきもあったような。

 ピンポーンピンポーンピンポーン

『はぁ、行ってくる』

 淳が部屋を出ていった。

 そして、玄関のドアを開ける音がした。

『さっきからうるさいんだよこの――!』

 淳の言葉はそこで止まった。

「…………?」

 どうしたんだ?