「俺だって、頑張って勉強してきたんだ……」

 もう一人の俺は悲しそうに言った。

「その頑張りすら認めてくれないのか?」

『……っ!!?』



『……藤崎君可哀想じゃない?』

 クラスの女子がぽつりと言った。

『だよね……』

 その女子の近くに居た女子も言った。

『つかさぁ、林田も疑いすぎだろ!』

 男子も声を出した。

『そうだ、性格悪いぞ林田〜』

 もう一人の男子も言った。

『――はっ!?』

 林田は少し困惑気味だ。
 教室が騒めきだした。

『はーい、ストップストップ』

 ここでやっともっちゃんが止めに入った。

『林田、藤崎も頑張ったんだから認めてやれ』

 もっちゃんは林田に言った。

(林田が完璧悪者っぽくなってる……)

「どうだ相棒!!」

 もう一人の俺が、俺にだけ聞こえるような声で言った。

(って俺はお前の相棒じゃない!!)

「つれないなあ」

(早く、体返せよ!!!)

『真琴、どうした?』

 淳が声をかけてきた。

「なんでもねぇよっ!」

 俺の言った事は無視されてしまった。