(目、瞑って)

 え?

 少し不安を感じながらも俺はそっと目を瞑った。

(ちょっと我慢しろよ)

 ……な、何を!!?

 そう思った時、不思議な感覚に襲われた。
 足が地に着いてないような、
 全身の感覚が無くなるような、

「!!!!」

 ほんの一瞬、意識が飛んだと思ったら――

(……ん?)

 ――目の前にあったのは、瞑る前と同じ、廊下の風景だった。

 でも、体が動かない。
 口から声が出せない。
 目を動かせられない。

「意識交換しただけだから、心配するな」

 もう一人の俺の声が聞こえた。

(どういう事?)

「簡単に言うと、俺とお前の立場が逆になっただけだ。今お前は俺の中に居る」

 ああ、立場逆転。
 だから体とかも俺の思うように動かせないって訳――

 ――っておい。

(こんな事して何しでかすつもりだよ!!)

「声大きい!! 頭に響いたっつーの」

 さっきのお前程じゃないさ。

「まぁ見てろよ、俺の実力を」


 キーンコーンカーンコーン…

 チャイムが鳴った。