『あっ、よう真琴!!』

「よ、よっ……」

(元気ないなぁ〜)

「う、うるさいっ!」

『? どうした真琴』

「あ、何でもない」

 ここは学校。
 一人睨めっこはあの十分後にやめたはず。
 なのにまだ頭の中から声が聞こえてくる。
 俺はおかしくなったのか?

『なんであの時メールくれなかったんだよー?』

 淳の言う“あの時”とは、一人睨めっこの時だろう。

「悪い」

『何かあったのかと思った』

 え、心配してくれてたんだ。
 ちょっと嬉しかった。

(何も無かったって言っておけ)

 え!!?
 滅茶苦茶何かあったのに!!
 これとかこれとかこれとか!!

(いいから、言え)


「……何も起きなかったから」

 俺は淳にそう告げた。

『そっか! まぁ実際学校来てるもんな!』

 淳は笑った。

 ごめん……嘘ついちゃった。