一人睨めっこ

『ええって何よ……』

 真奈美はそう呟いて俺達に背を向けた。
 俺の心臓はあり得ない程に大きな音を立てている。
 心臓が破裂するんじゃないか、はたまた口から飛び出そうだ。
 顔が熱くなるのが分かる。

「……ちょ、んな…………え!?」

 何か言おうとしたが、上手く言葉にならなかった。

 この雰囲気……俺の返事待ち!!?

 生まれて初めての状況に、対処出来ない俺。

『別に、最初は何とも思ってなかったけどっ』

 真奈美が取って付けたように言った。

「あの……その――そういえば真奈美! 優兄好きって言ってたのに……」

 優兄を見た瞬間『好み!!!!』とか言ってたのを確かに覚えている。

『あれは、恋愛感情じゃなくて――ただ優様が』

 結局、優様って呼んでるのか。

「優様が??」

 あ、俺まで優様って言っちゃった。

『…………』

「………?」

 少しの沈黙。
 そして、

『ただ優様がお母さんに似てたから気になっただけ!!』


 ……
 ………………
 ……お母さんって…………。

「あのクールな外見の何処が母親なんだよ!!」

 どっちかと言うと爺ちゃんだろ!!
 どんな母親だよ!!