『は!!?』

 俺の言葉に、淳が声をあげた。

「日没が近いんだよ」

『あ……』

 淳も理解したようだ。

「何なら、俺だけでも出るから」

 答えは、決まっていた。
 どうしても、これしかないから。

「逃げるみたいで嫌なら……俺だけでも行くから」

 俺は泣き続ける林田から離れ、部屋の出口へ歩んだ。

『――何か真琴、変わったなっ』

 淳が言った。

「変わった?」

 俺は部屋のドアを開けた。

『ああ。何か、強くなった』

「何だそれっ」

 俺は少し笑って家を出た。

『――待て!! 俺も行く!!』

 淳が言った。

『えっ、あ! 私も!!』

 真奈美が言った。

『俺達も――と言いたいところだけど、こいつをほっとけないな』

 優兄は林田を指差して言った。

『僕達はここに残って、何とか話つけておくよ』

 駿兄がにこっと笑って言った。

「でも――」

『大丈夫っ!! 僕、嘘得意だから!』

 ……何だそりゃ。

「じゃあ、行ってくる」

『頑張れ〜!』

『体乗っ取られんなよ』

『いってらっしゃい』



「……おう」