皐月さんは、そう言って台所で、秋刀魚の下ごしらえをし始めた。

流石に手際がいいもんだ。

これは、かなり期待できそうだ。

米をといで、豆腐の水抜きをして、秋刀魚以外の付け合わせを、凄い速さで作り上げていく皐月さんをみながらそう思った。

俺は、廊下に出てホコリだらけの物置から、何とか七厘と網を見つけ出して、庭へと運んで行く。

「皐月さん!ごめん、なかなか見付からなくてさ…ホコリだらけだったし。」

「長いごと、放置されてたからしかたねえべ。わだすもたまには掃除すてたけっど、誰もこないから、やる気が起きなぐてなあ…。」

俺が置いた七厘 に炭を入れて皐月さんが持って来ていたマッチで火を付ける。

皐月さんはうちわで火を扇ぎながら手際よく秋刀魚を並べて焼いていく。