和菓子全般が好きそうな感じだよな。

一人暮らしが、したくて都会から引越しして来たハズなのに、今は皐月さんと手を繋いで夕まぐれの 商店街を来た道を二人で歩いて帰っている…。

なんだか、不思議な感じだ。

皐月さんとは、初めて会ったハズなのに、初めてじゃないような、懐かしいような、不思議な 感覚…。

しばらく歩いて、引越して来たばかりの我が家に着いた頃には、日がとっぷりと暮れて暗くなっていた。

あちこちの家から 美味しそうな 夕げ の匂いが漂ってきている。

家に着いた俺は、秋刀魚を取り出してコンロを使って焼くのだろうと準備をし始めようとしたら、皐月さんに秋刀魚の入った袋を取り上げられてしまった。


「コンロなんかで焼いたら、せっかくのいい秋刀魚が台なしになるべさ!廊下の物置さ七厘があるべ、それで網焼きにするんだなや!」

七厘で網焼き!

…それは、風情があるというか、なんというか…蛤も七厘で網焼きにしたら美味いだろうな。

「そうか、なら俺が庭まで運ぶから、皐月さんは先に行って待っててよ。」

「んだな。下ごしらえして、先に行って準備しておくだなや。」