「あっ、はい。本当にありがとうございました。」

「じゃあな。」

少し進んでから振り返ったけど、
そこに男の人はいなかった。

笑顔が、初恋の人に似てたかも…。
気のせいかな。

「海!遅いよ!」

心配して水月が探しに来たみたい。

「ごめん、男の人に絡まれて…。」

「え!?大丈夫だったの!?」

「うん、かっこいい男の人が助けてくれた。」

「…へぇ。…で、その人の名前は?」

「…あ、聞き忘れた。」

「後でお礼とか出来ないじゃん。
勿体無い。」

勿体無いって…
水月が見たかっただけでしょ。

「まぁ、先輩待ってるよ。
早く行こう!」

その後は何事もなく、
三人で夏祭りを楽しめた。