私の手をつかむ人が急に立ち止まる。

「あの~…」

「………くくっ。」

急に肩を揺らして笑いだした。

…これはこれでピンチ?

笑いを堪えて男の人は振り向き、言った。

「強引なナンパ男に、丁寧に断わらないだろ、普通。」

「あ…そうですね。」

言われてみれば、確かに。

「助かりました。
ありがとうございます。」

「今度見つけても助けないからな。」

「い、以後気をつけます…。」

「はははっ、冗談だ。」

あれ?今の顔…。

じっと見ると、彼は笑うのを止め、手をパッと離された。

「ほら、もう行け。
誰か待たせてるんだろ。」