空がいなくなってから、思わず呟いた。

「空は嘘つきだなぁ…。」

言葉はいつも通りだけど、一瞬見えた空の顔は哀しそうだった。


その日の夜。

『明日、少し陸先輩と話したいんですけど、いいですか?』

水月ちゃんからのメールに、
俺は分かったとだけ送った。


次の日。

「あの、空先輩に会わせてください。」

最初から衝撃的だった。

「…空に会いたいって言った女子初めてだ。」

というか、俺以外の人が近づくのを見たことがない。

担任の先生も少し敬遠してるんだ。

「イラっとしたので、文句言ってきます。海の気持ちを何だと思ってるんですか!って。」

あ、水月ちゃんもイラっとしたんだ。