「今日、王子様とすれ違った!」

「え~いいなぁ~!」

「私も見たい~!」

…あれ?

「これだけ大声で騒がれてて、
よく知らないで今日までいられたね。
感心するレベルだよ。」

皆、こんなに大きな声で騒いでたんだ。

気づいてもよかったね…。

「…あ、私は霊のあの人が一人でいるの見たよ。」

…霊のあの人?

私の疑問に答えるように水月が答えた。

「…もう一人の噂の有名人がいるの。
それも知らないんでしょ。」

本当に呆れている。

「しょうがないじゃん、噂が耳に入らないんだから…。」

私がダメなんじゃなくて、皆の情報収集能力が凄いんだと思う。

「聞いてないだけじゃん。」

痛いところをつかれた。