それから暫く経った土曜日の朝。

海ちゃんのいた町に一人で行くことにした。

両親とも仕事でいなかった。

今まで貯めたお金を全部お財布に入れる。
隣町に行くことは誰にも秘密だった。

バスに乗るため並んでいると、後ろにいたおばあさんに「おつかいかい?偉いねぇ」と言われてドキッとした。

なんだか冒険みたいだ。

とてもワクワクしながら、バスに乗った。


今思えば当たり前だが…一年前にいた場所は、川辺の土手も、公園も全く変わっていなくて嬉しくなった。

公園の近くで、海ちゃんを探す。

来るかどうか分からないのに、そんなこと全く考えないで探していた。

「…ないなぁ。」

聞いたことのある声が耳に届いた。
パッと声のする方を向く。

そこには、髪型も変わらないあの時の海ちゃんがいた。

多分、また四葉のクローバーを探してるんだなって思った。