「よし…って、
また悪口思ってただろ。」

不満そうに陸が言う。

チッ、バレたか…。

俺は今度は否定しないで、何も無かった様にまた本を読み始めた。

そうだ、
陸のせいで全く本が読めていない。

この動作を肯定ととったのだろう。

「空には、その子と仲良くなっても紹介しないからな。」

紹介されても仲良くするつもりは無い。

そう言いたかったが、言う前に教室から出て行った。


俺は陸以外と、関わるつもりは無い。

陸の相手だけで十分疲れるし、
友情も愛情も面倒なものだからだ。

それにすぐ変わってしまう気持ちも、
脆い友情も、俺には必要ない。

…はぁ。

俺は、陸の所為で少しだけ懐かしいことを思い出した…。