屋上でひとしきり泣いた後、フェンスにもたれたまま寝落ちてしまったらしく、目を覚ませばあたりは夕暮れだった。
部活動をする人たちがグラウンドに出てきているのが見える。
「…楽しそうだな」
「起きた?」
「!?」
小さく呟いた声に返事なんか来ないはずなのに、聞き慣れた声が耳に入った。
驚いて目を向ければ、変わらない優しい目が私を見ていた。
「…悠斗くん?」
「くん、なんてつけなくていいよ。記憶、戻ってよかった。朔から昨日のこと、聞いたよ」
今までと変わらない笑顔を向けてくれる目の前の人が信じられなかった。
心臓が嫌な音を立てだす。
「…何しに来た?私に喧嘩でも売りに来た?」
「…いいよ、無理しなくて」
一度も冷たい目で私を見ない悠斗にだんだんと作っていた心が壊れて行くような感覚。
「無理…?何言って…!」
「その目」
悠斗が自分の目を指差して、私の目が腫れていることを指摘してきた。
「これはっ…」
「ここには俺しかいない。誰にも何も言わない。瑠榎が隠したいって言うなら秘密は守る」
私の言葉を遮って悠斗が私の方へ歩を進めながら言葉を紡ぐ。
だめだ。
それ以上近づかれたら…。
そして、私の目の前でしゃがんで目線が絡む。
「だから…俺を頼れよ…」
苦しそうに、寂しそうに、今まで見たことない顔を私に向ける。
「っ…」
そんな顔を見せられたら…隠しきれないじゃないか。

