それからは上手く話せていたかも覚えてないけど、ふわふわした気持ちだったことだけは覚えている。
「じゃあ…ありがとう」
家の前に着くと、なんだか恥ずかしくて悠斗から少し目線を落としながらお礼を言えば頭をくしゃっと撫でてくれた。
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
顔を上げてみれば、ものすごく優しい顔をした悠斗がもう一度頭をポンと撫でてくれてから背を向けて歩き始めた。
そんな背中がかっこよく見えて、目をそらすことが出来なくて。
見えなくなるまでその背中を見つめていた。
悠斗の背中を見届けてから家の中へと入り、リビングに向かう。
「ただいま」
「おかえりー。遅かったな」
ソファに座ってテレビを観ていたお兄ちゃんが私の方を見て返事をしてくれる。
「ん。ちょっと盛り上がっちゃって」
「誰かに送ってもらった?」
ソファの背もたれから身を乗り出すようにして私に質問してくるお兄ちゃんをカバンを置きながら一瞬だけ見て、キッチンへと足を進めた。
「大丈夫だよ」
冷蔵庫からお茶を取り出し、コップを持ってダイニングに向かえば心配そうなお兄ちゃんと目があった。

