愛を知った時


「いらっしゃい!」


そう言い香が迎えてくれる。



ここは、家か?!



殺風景な場所だけど気持ち良い風が吹いていた。


「風邪ひかないでね~」


何だかんだ3月。

まだまだ冷える。


私達は小さなベンチに座った。


「大丈夫。それより本当に来てくれたんだね!!」


「あんな事言うからじゃんかぁ!」


「いいだろ。たまには…」

そう言いながらほっぺたを膨らます香。

そんな顔されたら、怒れるわけないじゃん。

「………いいよぉ」

「あの後、矢田さんから相当突っ込まれちゃったよ(笑)」


その時の事を思い出すと、相当恥ずかしい…


「マジ、超恥ずかしかったんだからね!!」


「俺もだよ。」



頬を撫でる風が、まだ少し冷たい。


香が手招きした。


「どうしたの?」

と言って近付く。



香が片手で私を抱きしめた。



その手には、男の力強さが戻っていた。