純情100%の誘惑



背中には美羽の体重と寝息。


3階を見上げれば、自分ちの窓。


さっきまであの窓からは、ママと男の笑い声が聞こえていた。


……あたしの居場所なんて、あの家にあるのかな。



「――くしゅっ」


美羽が寝たまま小さくクシャミをする。


いくら夏とはいえ8月ももう終わりだし、夜はちょっと肌寒い。



「はぁ……」


じわっと涙がにじんだ、そのとき。