映画を見て、あてもなく街をぶらぶら


まともに話したことがなくて全然知らなかったけど、神宮寺君は意外とよく喋る

会話が続かなかったらどうしよう、なんて思ってたけど、その心配はなくて

不意に沈黙があっても、繋いだ手が気まずさなんて作らない



「ん、何?」


「え、何も言ってないけど」


「いや、手握り返してきたから」



今まで恥ずかしかったからか、私は神宮寺君の手に軽く触れている、そんな程度だった

けどいつの間にか神宮寺君が私の手を握っている力と同じくらいの力で握り返していた


無意識だったから、その事を指摘されて急激に恥ずかしくなる


絶対赤くなったであろう顔を背けると、神宮寺君が小さく笑うのがわかった。