猫日和




遡る事一年前。

あたしはショーケースの中にいた。


産まれてからは両親が誰かなんて分かっていないし、周りには様々な種類の犬猫がいた。


この暮らしには特に不自由はなかった。

決められた時間にご飯は出てくるし、遊び道具や遊び相手もいて、好きな時間に好きなだけ眠る事ができて。


毎日沢山の人間があたし達の生活を覗きにくるのは少し癪に障る事もあったが、ガラス一枚挟んでいたので危害を加えてくる心配はなかった。




ある日、あたしの前から離れようとしない一人の男が現れた。

ガラスに手を張り付けじっと見てくるから、あたしは思わず食べられるんじゃないかと内心オドオドした。


やっと離れていったかと思うと、今度はショーケースが開けられ、その男に抱き抱えられていた。


あたしは為す術もなく男が住むマンションに到着した。