王子様は旦那様

「まぁまぁ。そんな怒らなくてもいいだろ?」


「別に怒ってねぇよ」



いやいや。


怒ってたじゃん!



ジィーと拓斗を見ていたら


「んだよ」


ギロッと拓斗に睨まれた。


「な、何でもないわよ」



「クスクス。……じゃあ、俺は部屋に戻ろうかな。荷物の整理したいし」


恭ちゃんが立ち上がった。

「えっ、あっ、戻るの?荷物の整理手伝おうか?」



「いや、いいよ。ありがとう。じゃあね」


恭ちゃんは部屋を出ていこうとしてドアを半分開けた時、「あっ」と言って振り返った。



「?」


どうしたんだろと恭ちゃんを見つめた。


拓斗もあたしと同じように恭ちゃんを見つめていた。