二学期になった。




太一と一緒に行った野球の試合で“あの人”を見かけた。




私の好きな人には彼女が居たんだ…。




それを知った時、私“佐久間 アカリ”の恋は終わった。




本当はボールをちゃんと打ち返せるようになったら告白しようと思ってたの。




なかなか打ち返せるようにならない私に、太一はイライラしながらも付き合ってくれたのに…。




太一はショックで泣きじゃくる私に何も言わずに傍に居てくれた。




「アカリ。キャッチボールしねぇ?」




あの日ラーメンを食べながら太一は突然そんな事を言い出した。




ちょっと照れながら言う彼に、不器用な優しさを感じた。




夏休みの暇な時、二人で公園に行ってキャッチボールをした。




バッティングは上手く出来なかったけど、キャッチボールは何回かやるうちに出来るようになった。




凄く楽しかった。




太一も何気に楽しそうで、一緒にいる事も自然で…。




だからそれが“おかしい”なんて考えた事なかったの…あの言葉を聞くまで。