「なんか野球部のヤツが好きらしいぜ?…興味ないからあんま聞いてないけど。」




大本は俺の言葉に「な~んだ」とガッカリしたっぽかった。




「とりあえず明日連れてくと思う。」




そう言って電話を切ると、ドッと今日の疲れが出てそのまま眠りについた。





翌朝の天気はイマイチ。




空は灰色だったが、まぁ野球だし関係ないか…。




朝弱い俺はダラダラと洗面所で歯を磨く。




「…なんだ、休みなのに珍しいな…。」




「…ああ、今日地区大会の決勝。見に行って来る。」




「…お前んとこは結局駄目だったか…」




…ほっとけよ!!




ボソッと地雷を踏んで去って行く親父の背中を睨む。




俺だって出来たら決勝まで出たかったよ。




“仕方ない”




そう思わないと諦めらんないだろ?




溜め息混じりに用意をしてチャリでアカリのマンションまで向かう。




まだアイツの姿はなかった。




“着いたぞ。”




“今行く~!”




すぐに返事は来たがそっから10分も待たされイラつく。




「お待たせ~!おはよう、太一!」




「遅せぇよ!」




「何着ればいいか迷っちゃって…どうかな?」




くるりと回って見せるアカリに「いいんじゃね?」と適当に返事をする。