「だから...」



ヒロはそう呟きながら、あたしの左手を掴んだ。




「――――結婚してください」




同時に薬指に何かがはまる感覚――



ヒロは卑怯だ。

そんな声で囁かれたら、NOなんて言えなくなる―


目を開けると、ヒロが恥ずかしそうにこっちを見ていた。


視線を左手の薬指に向けると、シルバーリングがサイズぴったりにはまっていた。



ふと、目の奥がジワッと熱くなった。




「ごめん、即席だったからイイの買えなかった。

今度、二人で買いに行こう?」



なんでか、涙が込み上げてきて喋れないあたしを、ヒロが笑った。



「渚、返事は?」


そう、優しく問うヒロを見つめた。


「はい...」



今度は、ヒロがポンポン頭を叩きながら、

耳元に唇を近づけた。





そして、そのまま――――