今日はヒロの好きな唐揚げだ。
こんな時でも、ヒロのことを想って...喜ぶ姿を想像して...笑顔が見たくなる。
―――それから一時間後...
カランコロンと玄関のベルが鳴った。
「ただいまぁ」
愛しの声に、慌てて手を拭いて玄関に駆け寄る。
「ヒロおかえりーっ」
「おっ、渚。ただいま」
ヒロはいつもの笑顔で歯をニッと見せた。
私の好きな、ヒロの笑顔だ。
私は勢いよくギュッとヒロに抱きついた。
「うわっ...どうしたあ?」
ヒロはびっくりしながらも頭を優しく撫でながら、問う。
「ヒロ好きーっ!」
「...知ってるよ」
ニコッとして耳元でそう囁くと、ヒロはを抱き締めたまま前に進みだした。
「ちょっ!!どこ行くん!?」
「どこって...飯だよ。腹減ったもん」
んー!!
渚を食べるって言ってくれないの?