「今日、試合でしょ?」
「うん。 でも会場開くのまだまだだよ?」
眠そうに瞼をこする優人は、また選手に選ばれた。
今から学校で練習して、それから試合会場へ向かうんだと思う。
そんな優人にあたしは、両手に握っていた大きめのタッパーを差し出した。
「これ… 渡したくて」
昨日の夜漬け込んだ
─…はちみつレモン。
一週間前から練習して、レモンと蜂蜜の味の一番いいバランスを見つけた、完全オリジナル。
『俺ね、はちみつレモン好きだよ!』
頭に浮かぶ、あの笑顔。
もちろん、一番は瀬戸先輩に食べてもらいたい。
でも直接渡すなんて、とてもとても
できそうにないから。
「バスケ部みんなで…分けてくれたら」
これならあたしの気持ちもバレない、よね?

