* * * * * 「それでね?先輩、あたしのこと覚えててくれたの!!」 「うわぁ、よかったね! なんかあたしも嬉しい!」 夏穂の話は、昨日佐藤先輩と話したということだった。 嬉しそうに手で顔を隠す夏穂を見ていると、あたしも心がわくわくした。 「でねっ、また今度話そうねって!」 どうしよう、と顔を上気させながら笑う夏穂を見て、あたしも笑顔になった。 でも、なんでかな。 手放しで喜べない。 何かが、足りなくて。 ─…瀬戸先輩、かな。 やっぱり一回も見てないとなると、すごく寂しい。