「はい」
鞄から出した英語の教科書を優人に手渡す。
優人は、先生にバレないように、学ランの下にそれを隠しながら背面黒板を見た。
「かれんのクラスは…三時間目か。ならそれまでに返しにくる」
「あ、うん。よろしくね」
「…じゃな。ありがと」
笑って手を振る優人は、次の瞬間には他の男子と会話をしていた。
「かーれーんーちゃんっ!」
「…わ!ビックリしたぁ。七瀬ちゃんか」
あたしの背中をつっついたのは、七瀬ちゃん。
遠くなく、近くなく、適度な距離感の友達。
そんな七瀬ちゃんはニヤニヤしながらあたしを見る。

